第24章 交わらない男達の二日間
「女性はそこで待ってて」と言う男性陣に甘えて、わたし達はすることも無く少し離れた木陰から彼らを見ていた。
昴さんの背中から腕にかけての筋肉の綺麗な事。
安室さんなんてこの日差しの下にその肌が似合う似合う。
別に特段の筋肉フェチって訳でも無いんだけど、なんだろう、体の動きに連れて動く筋肉をただ見つめてしまう。
「安室くんも昴くんも素敵ねぇ・・・私ももう少し若かったらお相手願いたかったわぁ・・・」
「ママにはマスターがいるじゃないですかー」
「でもかおりさん・・・二人ともかなり素敵なのはたしかですよ・・・もちろんマスターも素敵ですけどね!」
ママはまあそうだろうけど、梓さんまで瞳を輝かせてそちらを見てるもんだから驚きだ。
「・・・あんな人が彼氏だなんてかおりさん羨ましいです」
「ほんと、わたしには勿体ないくらい優しくていい人です、昴さんは・・・」
「それでいてあの安室さんにも思われてるなんて・・・どうしたらそんなにモテるんですか!」
「たまたまですって・・・」
わたしと梓さんとのやり取りを聞いて「ウフフフ・・・」と一人笑うママ。
あちらの準備が整ったようで、手招きをされ、皆で水辺に張られたパラソルの下へ集まる。
「冷たっ!」
「ほんとだっ!気持ちいいですね!」
日向は肌がジリジリ焼けるように暑いのに、足を浸けた川の中はすごく冷たい。
ママは椅子に陣取り、「荷物は見てるから遊んでらっしゃい!」と、本を取り出しページをめくり始め。
マスターは、釣り道具と思しき物を担いで、「夕食の足しにできるといいんだけどね」と上流へ向かって行く。
「僕はちょっと泳いできます」
安室さんは川に向かって足を進め、腰程まで浸かると向こう岸に向かって泳ぎ出した。
うわー・・・綺麗な泳ぎ方。穏やかとはいえ流れのある水の中、スイスイと身体が進んでいく。
「私もー!」
「えっ!」
梓さんも安室さんの後を追い、泳ごうとしている。
昴さんの顔をふと見上げると・・・なんだか不敵な笑みが浮かべられていて。
「かおりさんも行きますか?」
「えええ?」
何を隠そう、それほど泳ぎが得意でもないわたしの泳力では、絶対に向こう岸まで辿り着けない事は自分の中で明白・・・