第24章 交わらない男達の二日間
「お天気良くてよかったですねー!」
「空気も美味しーい!」
大きなレンタカーを借り、マスターママ夫妻、梓さん、安室さん、わたし、そして昴さんの六人で郊外のキャンプ場へ来た。
安室透が運転する行きの車内、わたしは梓さんにつられて車内でキャイキャイはしゃぎながらも、安室透と沖矢昴を一緒に居させる事に内心ハラハラしていた。
・・・けど、彼らはいたって普段通りの様子で、何なら楽しげに言葉を交わしたりもして。気を張ってるこちらとしては、ちょっと拍子抜けしてしまう位。
「安室さん、運転ありがとうございました。帰りは任せてください」
「はい。お願いします。車高の高い車は久しぶりでした。やっぱり楽ですね。昴さんの車も・・・」
無事着いた今だって、車から降りて伸びをしながら二人は何やらお互いの車の話をし始めた。
後ろからそれをぼーっと眺めていると・・・ママに肩を叩かれ小声で話し掛けられた。
「かおりちゃん!安室くんと昴くんって友達だったの!?」
「あー・・・まあ、仲良しって訳では無いですけど、知り合いですよ、結構前から・・・」
「あら。それは・・・大変ねぇ」
ママは全然“大変”じゃなさそうな顔をして、その彼らの方へ向かっていく。
わたし達が今日泊まる所は、なんと呼ぶのかよく知らないが、キャンプっぽくないというか、ペンションとか別荘みたいな、小屋と呼ぶにはちょっと立派な建物で。
中には、大きな木のテーブルに、同じく木製のベンチ。
テレビにソファ、キッチンも冷蔵庫もあるし、もちろんお風呂もトイレもあり。
寝る所はちゃんと扉付きの部屋になってるみたい。
最近のキャンプは随分手軽で清潔になったものだ、と皆口々に言う。
荷物を置き、ざっくりとここでの過ごし方の予定を立てる。
寝室は二人部屋が三つあるけど、誰がどこを使うか、その話になって、わたしの脳内はフリーズを起こしかける。
(だって皆で川の字で寝るものだと思ってたから)
二人部屋が三つ・・・
マスターとママ、
梓さんとわたし、
安室さんと昴さん、
こう別れるのが一番無難か・・・
でも安室透と沖矢昴を二人きりで寝かせるのはできれば避けたい。
かと言って、梓さんと安室さんを一緒にするのもおかしい。
昴さんに視線を送るが、彼は気にもしていないような顔付きだ。