第24章 交わらない男達の二日間
「あの・・・すみませんでした」
「どうした急に」
「・・・機嫌悪かったでしょ?わたし」
一杯目のビールを飲み干し、やっぱり、秀一さんに謝った。
すると意外な返答が返ってくる。
「それは俺の所為だろう・・・こちらこそ、すまなかった」
「どうしたんですか、秀一さんこそ・・・」
「なんだろうな、俺は俺なんだが・・・沖矢の時と赤井の時とでお前の反応がああも違うと・・・少し考えさせられた」
「いいですって、それは分かってますから・・・今日はわたしが悪かったです」
喧嘩してたつもりも無いけれど、和解したのか。
次のお酒を進める内に、いつの間にか肩が秀一さんと触れている程、物理的な距離も近くなっていて。
すっかりいつもの夜だ。
特別内容の濃くも無い話をしながら、本当にくだらないことで笑ったり。
やっぱり秀一さんが好きだし、こうやって一緒に居るだけですごく幸せだと、ふと思ったり。
頭を横に傾けて、秀一さんの肩に乗せて。
彼の腕が動き、わたしの肩に回される。
ほんとに、幸せだ・・・
しかしここでまた秀一さんの口調が意地悪く変わる。
「しかし・・・かおりを見ていると虐めたくなるんだ、なぜだろうな・・・」
「好きな子はついイジメちゃうってやつですか?小学生の」
「・・・ガキと一緒にするのか」
あごを掴まれて彼の方を向かされる。
秀一さんの目は、妖しい色を滲ませ始めていて、心臓がドクンと音を立てて跳ねる。
「大人ですもんね」
「ああ、そうだ」
唇が重なり、舌を深く差し込まれる。
それは柔らかく動き、口内を隅々まで堪能して、出ていき。
鼻先が当たりそうな位近い距離のまま見つめ合ってしまい、秀一さんから目が逸らせなくなる。
「かおりだって・・・本当は俺に虐められるの、好きだろ」
「や・・・好きじゃない!」
顔を逸らそうとしてもしっかり固定されていて動けず。
心臓の鼓動は速く大きくなるばかりだ。
「強がっても顔に書いてあるぞ・・・虐めて欲しいんだろう?」
秀一さんの低い声が、身体の奥まで響いて芯を震わせる。
なんでこうなると逆らえないんだろう。
「ほら、どうなんだ」
「秀一さん・・・の」
「ん?」
「もう・・・秀一さんの好きにしてください・・・」