第24章 交わらない男達の二日間
結局スーパーへ行くことになり、二人で外に出た。
夕方とは言えまだまだ暑い。
おまけに沖矢昴の格好だと彼は尚更暑く感じるらしく、珍しく弱音を吐いた。
「日本の夏は湿気が多くて参りますね・・・」
「そうらしいですね・・・昴さんは今までどこが一番過ごしやすかったですか?」
「良し悪しそれぞれありますが・・・西海岸、特にロスはいいですよ、この前優作さんの所に行った時も快適でした」
「へえー・・・行きたかったなぁ」
「それならやはり早くパスポートを取ってください。色々片付いたらかおりさんをあちこち連れて行くのも楽しそうですから」
「はい!そうでしたね、また忘れてました・・・」
アメリカでも、イギリスでも・・・行ってみたい所は山程あるけど、きっとどこだって楽しいんだろうな。
昴さんと話してると穏やかに時間が過ぎていくというか・・・
対する秀一さんは口も悪ければ態度も悪い。
二人の良い所だけ残して真ん中位の性格にならないだろうか・・・
買い物を済ませて、再び自宅へ戻ってきた。
エアコンを付けっぱなしで出たので、玄関のドアを開いた瞬間、冷気が身体に触れる。
「あー涼しーい!」
「だな・・・かおり、カーテン閉めてこい」
「ああ、はい・・・」
部屋に入るなり彼は秀一さんに戻り、ペリペリと変装も剥がしていく。再び俺様秀一様の登場だ。
彼は買ってきた食材をキッチンにドサッと置くと、着ていた服を脱ぎながら浴室の方へ向かっていく。
「秀一さん?着替えるんですか?」
「ー・・・ちょっと流してくる」
夕食は一緒に作るもんだと思ってたのに、秀一さんは浴室へ行ってしまい。
・・・お腹も空いたし、一人準備に取り掛かる。
まあ、今夜はすごく簡単なものだけれども。
野菜を切って、さっと茹でた豚肉を氷水で冷やすだけ。豚しゃぶってやつだ。
秀一さんがシャワーを終える頃にはほとんど完成に近くなっていた。
「・・・お、もうできたのか」
秀一さんに声を掛けられ、パッとそちらを見て・・・見なきゃ良かったと思った。
一人で作った悪態でもついてやろうと思ってたのに。
髪も濡れたまま、半裸で現れた秀一さんが予想以上に刺激的で、一瞬息が詰まる。
すぐに視線を手元の氷水に戻して言い放つ。
「・・・ふく!服着てくださいよ・・・」