第22章 シルバーブレッド達のご帰宅
秀一さんが操作するタブレットを覗き込むと、それはSNSのようで・・・
工藤新一が京都で起こった殺人事件を見事解決したと書き込まれている。
しかも、もの凄いリツイート数。
めちゃくちゃ拡散されてるじゃないか・・・
「工藤新一は日本でかなり有名だったんだろう?」
「そうですね、知らない人は少ないんじゃないかな・・・まあ両親含めて有名っていうのもありますけど」
「消えたと思われていた有名人が再び表舞台に出てきたとなると・・・マスコミも騒ぎ出すだろう」
「報道されたって、なんとか誤魔化せるでしょ?」
「そうだが・・・組織の連中は必ず探りを入れてくるぞ、こちらも何か策を立てねばならない」
「ここ新一くんの家だしなぁ・・・張り付かれちゃうのかな」
「ありえるな。降谷くんから連絡はないか?」
「どうだろ、・・・ないですね」
スマホには特に何もきていないけど・・・
工藤新一がかつて住んでいた家の近所に潜入しているバーボンに、組織から探索の命令が下るのは至極当然だろう、きっと何か探ってくるはず。
気を張らなければならない。
「で、もし新一くんの事を聞かれたら、何て答えるのが正解ですか?」
「会ったことは無い、知らない、としか言えんな」
「ですよねー・・・」
先程買ってきた食べ物を広げて、食べながら話を続けた。
優作さんと有希子さんは、今日本に帰って来ようとしているらしい。
当初は優作さんの仕事が一段落したら帰る予定だったそうだが、そう悠長に構えてもいられない状況になってきた、と。
帰ってきたら工藤夫妻はまたこの家に住むのかな。
そしたら、わたしはここに居続けていいのか?
「かおり、何か気になる事があるのか」
「あの、有希子さん達帰ってくるんなら、わたしこの家出た方がいいのかなーって・・・」
「俺は事が落ち着くまでは居させて貰えると色々楽だとは思うが・・・そうだな、気になるなら・・・出るか?一緒に」
「えっ!?あ、でも秀一さんは優作さんと一緒の方が何かといいんじゃ・・・」
「すぐ近所なら支障はないだろう」
・・・うわ、どうしよう。
こんな状況なのに、秀一さんと新しい家に引っ越す事を考えるとワクワクしてきてしまう。
「そんなに引っ越したいのか?顔がニヤついている」
「・・・バレましたか」
「バレバレだ」