第22章 シルバーブレッド達のご帰宅
「そうそう!来月ウチとポアロとで旅行に行くつもりなんだけどね、良かったら昴くんもいらっしゃいよ!」
「えっ?ママ?」
「僕が行ってもよろしいんですか?」
「もちろんよ!キャンプの予定なんだけどどうかしら」
沖矢昴と安室透が一緒に旅行だなんて有り得ない、絶対に避けたい。
まさかママは昴さんの裸が見たいのか?
あんなこと言うんじゃなかった・・・
それとも安室と沖矢とわたしのトライアングルを楽しみたいのか・・・
「・・・楽しそうですね。日取りが決まったら教えてください」
「昴さん!?」
「かおりさん?僕が来るのは嫌ですか?」
「嫌とかじゃなくて!・・・キャンプとか興味無いと思ってたので・・・」
昴さんもなんで断らないんだろう?
何か考えでもあるのか。
何にも知らないママはニコニコ笑ってるんだし・・・
零と秀一さんが寝食を共にするなんて、危険すぎないか・・・?
エラリーを閉めて、昴さんと二人並んで歩いて帰る。
聞きたい事、話したい事は山盛りなのに、そのほとんどが外では口に出来ない内容なのでもどかしい。
とりあえず工藤夫妻が元気そうだった事と、わたしへのお土産はワインと、良い香りのボディソープを買ってきたと言われ、それらが入ってるらしい袋を覗かせてもらう。
ワインはともかく、ボディソープは超が付く程可愛いパッケージの、日本では売られていないブランドのもので。
嬉しい反面、秀一さんがこういうものが並んでいる店に入って選んで買ってきたのかと思うと、可笑しくて仕方がない。
(実際買ったのは昴さんだろうし、後で分かったことだが、これは有希子さんのイチオシ土産だったそうだけど)
今日の夕食と明日の朝食は買って帰ることにする・・・作る時間も惜しいからだ。
何故か“多めに買っておきましょう”と言う昴さんに従い、絶対に余る程の食糧を買い込んで帰宅した。
家に入ってリビングのテーブルに早速着く。
さて・・・どんな話を聞かせてもらえるのか。
「ようやく話せるな」
「はい。待ってました・・・」
「イレギュラーな事が起こりそうでな、少しばかり騒がしくなるかもしれない。明日仕事は?」
「明日は事務所の方・・・」
「おそらく休んだ方が良い」
「一体・・・何が起こるんですか」