第22章 シルバーブレッド達のご帰宅
そして翌日。
今日もエラリーに出勤している。
夕方になり客もまばらになってきた頃、カウンターの中でわたしとママは慰安旅行の話題でひっそり盛り上がっていた。
「川があるなら安室くんの水着姿も見れちゃうのかしら?」
「ああ、でしょうね・・・」
思いがけず零の裸を想像してしまった。
色黒いから水着も似合いそうだ。
「でもかおりちゃんはもう見飽きちゃってるかしら?」
「えっ、綺麗だなーとは思いますけど・・・ウチにはもっと凄いのがいますから・・・」
「あらそうなのっ!」
零の身体は本当に綺麗だ。
でもやっぱり秀一さんには適わないな・・・秀一さんの方が一回り大きい上になんか身体中から色気が滲み出てる。
「あの人ああ見えて実はめちゃくちゃ鍛えてますからね・・・でもこれは好みの問題かも」
「そうねぇ・・・お目にかかれないのが残念だわぁ。裸の写真とかないの?」
「ありませんよ!そもそも昴さん写真嫌いなんですよね・・・」
当たり前と言えば当たり前なんだけど、秀一さんとは写真を撮ったことはない。
いつか、二人で撮れたらいいなとは思うけど・・・
その彼はもう成田に着いた頃だろう。
早く会いたいし話も聞きたいし、ふいに裸を想像してしまったせいで変な気も混ざって、余計にソワソワしてくる。
スマホを確認するが、メッセージの類は無い。
ちゃんと無事に着いてればいいんだけど。
閉店に向かって片付けをしだした頃、入口のドアが開く音が聞こえて。
こんな時間からお客さんかと思いながら顔を上げると、昴さんだったので一瞬固まりそうになる。
「昴さん・・・!おかえりなさい」
「あら、いらっしゃい」
「そろそろお店も閉店かと思いまして・・・かおりさんを迎えに来ました。少し入って待たせてもらってもいいですか?」
「どうぞー」
店内に入ると真っ先にママになにやらお土産を渡す昴さん、それをもらって大喜びのママ。
「アメリカに行ってたの!?」
「ええ、向こうで興味のある学会がありまして」
「すごいわねぇ・・・」
「かおりさんは良い子にしてましたか?」
「ちょっと・・・わたし子どもじゃないんだから・・・ねえママ?」
「ふふっかおりちゃんはちゃんとやってるわ、大丈夫よ」