第21章 ひとりぼっちの夜
蘭ちゃんからメールの返事がきた。
新一くんも一緒で、今まさに事件に巻き込まれており、これじゃ告白の返事どころじゃないですー!とのこと。
可哀想に・・・
秀一さんからも連絡があり、新一くん本人から彼の母親に先程電話があり、事件のことは聞いている、明日の夕方帰ったら話したい事がある、とのことだった。
早く諸々の話を聞きたいけど何もできず。
一人やきもきしながら仕事に戻る。
そわそわしながら残りの営業を終えて、ママと二人閉店作業に入る。
「ねぇかおりちゃん、この間の話だけど・・・」
「?・・・すみません、何でしたっけ」
「忘れちゃったのぉ?旅行の話よ!ポアロとエラリーの慰安旅行」
「ああ!はい。覚えてます」
「旦那と話してみたんだけどねぇ、来月位にどうかしら?」
「わたしは大丈夫ですよ。行き先は?」
「どこがいいかしら?」
「ママとマスターは行きたい所ないんですか?」
「そうねぇ・・・ゆっくりできて景色の良い所かしらねぇ?でもかおりちゃん達はワイワイ遊べる所がいいわよねぇ」
「わたしはのんびりするのも好きですけど・・・後でポアロ行って相談してみようかな。今日なら梓さんも安室さんもいますよね?」
「そうね、じゃあ行ってらっしゃい!二人によろしくねぇ」
ちなみにエラリーよりポアロの方が遅くまで営業してるから行けるのである。
夕食の準備は何もしてないし、相談ついでに夕食もポアロで済ませよう。
エラリーを閉めて、ポアロへ向かう。
ポアロに着き、入口のドアをそっと開けて中に入ると、梓さんと安室透が奥から顔を上げて驚いた顔をする。
「いらっしゃいま・・・かおりさん!どうされたんですか!」
「どうしたって・・・夜ごはん食べに来たのー!それと二人に相談もあって」
「いつも夕食を作って待っている彼は、今日はいないんですか?」
「あはは・・・今日はひとりで」
すると突然、後ろにいたオールバックに口髭の男性が話しかけてくる。
「奇遇ですなぁ!私も今日は一人なんです。よかったらご一緒しませんか?お嬢さん」
「え、ええっと・・・」
安室さんと梓さんに視線を送ると、今度は可笑しそうに笑っている。
「大丈夫ですよ、かおりさん。そちらの方は毛利小五郎さんです」