第21章 ひとりぼっちの夜
「さて、どうしますかかおりさん。帰りますか?」
「・・・せっかく出てきたんですしね・・・でも昴さんアメリカ行く準備しなきゃ」
「二日くらい、何も無くても大丈夫です」
「えー?着替えは?」
「必要があれば向こうで買いますよ」
「もし顔が崩れたら?」
「あちらには、有希子さんがいますから」
・・・わたしにはこういう感覚があまり理解できないんだが。
男の人ってみんなこういうものなのか。
現在時刻はお昼過ぎ。朝食が遅かったからまだお腹は減っていないし。
特別行きたい所がある訳でもない。
「今日は・・・庭でバーベキューでもしますか。明るい内に」
「いいですね!阿笠さんも誘ってみます?あの哀ちゃんって子も」
「彼女は誘っても来ないのでは?」
「・・・やっぱりそう思います?なんか家の前で会っても会釈だけで愛想ないし。顔は可愛いのになぁ・・・」
「人見知りしているんでしょう。まあ、女性はかおりさんのように、にこやかな方が素敵だとは思いますが」
「あの子もお友達といるときは笑ったりするんですかね?・・・想像できない」
とりあえず米花町に戻り、自宅へ帰る前に阿笠さん宅を訪ねる。
玄関先で、明日から昴さんが不在の為、わたしが一人の時に困ったら助けてもらえるようお願いして。
バーベキューに誘ってみた。
「おー!バーベキューか!いいのぉ。哀くーん!夕飯は昴さんたちとバーベキューにせんかー?」
阿笠さんが家の中に向かって大声を出す。
どうやら哀ちゃんはリビングにいたようだ。
「私はパス・・・博士だけでもお邪魔してきたらー?でも食べ過ぎはダメよ」
・・・やはり、あっさり断られた。
すると、奥からトコトコと哀ちゃんが出てきた。
「こんにちは。せっかく誘ってもらったのにごめんなさいね。博士のことなんだけど・・・」
博士は中性脂肪、コレステロール、血糖値が高いから、あまり脂の多い肉を食べ過ぎないよう見張っててくれと言われた。なんなら野菜と鶏肉だけでもいいとか。
・・・呆気にとられる。
この子はコナンくんの同級生らしいけど、わたしは七歳のときに血糖値なんて言葉、絶対に使ったことなかったと思う・・・