第20章 恋は盲目
「なんか・・・彼はこれ以上わたしに組織の話をする気は無さそうなんですよね・・・」
「こちらに手柄を渡したくないからか?それとも一般人のかおりに話す必要は無いと案じてか」
「・・・両方かな。情報共有すればいいのにーっては言ったんですけど、うんとは言わないですね。すみません、力不足で・・・」
「気にするな、それに関しては俺のせいでもある・・・」
グラスを置いて腕を組み、ソファの背もたれに深くもたれかかり息を吐く秀一さんが(勿論半裸だ)、絵になり過ぎてて、一瞬言葉に詰まる。
視線を前方に移して、正気を取り戻す。
「秀一さん嫌われてますもんねー。彼“赤い色”でさえ嫌いみたいですよ」
「くだらんな・・・スコッチの事が無くても・・・それ以前から彼には敬遠されていると感じてはいたが」
「何が気に入らないんですかね。わたし的には気に入る所ばっかりなのにー」
「お前は俺のどこを気に入っているんだ?」
「・・・え?」
再び視線を横に移す・・・
秀一さんは先程と変わらないポーズだが、顔付きがいくらか楽しそうだ。
とっても贅沢な悩みだとは思うが、わたしの恋人はなんでこんなにカッコイイんだろうか。
恋人なのに顔面を直視しすぎたらクラクラして倒れてしまいそうだ・・・
「・・・言えってことですか」
「ああ」
「・・・知ってるでしょ?」
「忘れたのかもしれん」
そんなのもう少し酔わないと言えそうにない。
手に持っていたお酒を喉に流し込んだ。
「男らしくて格好良くって・・・いっつも傲慢だけどちゃんと優しいところ?」
「・・・それだけか?」
まだ言わせるつもりか。
再びお酒を口に含む。
「・・・その声もだし、たまに優しく笑うときとか・・・寝てるときの秀一さんも好きです・・・それに・・・イイカラダ過ぎます・・・ここのとことか、この辺とか大好き・・・」
秀一さんの鎖骨や胸の辺りに触れる。
その手を取られ抱き寄せられて、倒れ込むように秀一さんの腕の中に閉じ込められた。
ああもう。恥ずかしくて顔が上げられない。
「・・・ほかには無いのか?」
「あんまりいじめないでください・・・」
「かおりは虐め甲斐がある」
「もう・・・全部好きなんです、それでいいでしょ?」
「・・・まあ、良しとしてやるか」