第20章 恋は盲目
仕事を終えて家に帰り、またいつものように秀一さんの作った料理を食べながら話す。
真純ちゃんが来ていた事を話すと、秀一さんの動きが一瞬止まって、顔付きが物凄く穏やかになる。
秀一さんのこういう所好きだなー・・・
気持ちがホワンとなる。
「あの子達今度、修学旅行で京都行くらしいですよー」
「京都か・・・俺も一度は行ってみたいな」
「一緒に行きましょう!・・・あ、あの、いつか」
「・・・そうだな」
今秀一さんは東京からあまり離れられないんだった、ってことを途中で思い出す。
でも、いつかは行けるだろう。行けるはずだ。
「それとね、新一くんの事なんですけど」
「なんだ?」
「コナンくんって、新一くんの身体に戻るときがあるんですか?」
「何?」
「蘭ちゃんは最近もたまに新一くんに会ってるみたいで、修学旅行に新一くんも来るかなーって言ってて・・・」
「どういうことだ?」
「さあ・・・」
「・・・いつまでも知らぬフリを続けるのは止めにするか」
「そう、しますか・・・?」
とは言ったものの、当然だがコナンくん=新一くんだという証拠がある訳でもない。
本人を問い詰めたところできっと認めないだろう。
では優作さんや阿笠博士はどうだ?
おそらく真実を知っているのではないか。
・・・でも簡単には頷かないだろう。
まあタイミングを見て、こちらから話を振ってみようか、ということで話は落ち着いた。
夜も更けて、今日はわたしの部屋で晩酌だ。
最近だいぶ温かくなってきて(昼間は暑いくらいだ)、変装を解き、お風呂から上がった秀一さんは、下着一枚で家の中をウロウロすることが増えた。
少し蒸し暑い今夜も、パンツ一枚でソファに堂々と座っている。
見慣れた身体ではあるけど・・・見たいような見たくないような・・・せめてTシャツくらい来てほしいけどそのままでいてほしい気もして・・・複雑だ。
「かおり、最近降谷くんはどうだ?」
唐突に聞かれて心臓が飛び跳ねた。
焦っているのを悟られないよう、ほろ酔いモードだった頭を正常に無理矢理切り替える。
「・・・組織とか、ラムの件?」
「ああ、それ以外に何がある」
「ですよね。くだらない話なら山ほどあるんですけど・・・」