第20章 恋は盲目
やっぱり零と会うのは控えた方がいいよな・・・と反省しながら家に帰る。
一日半ぶりに会った秀一さん。
昨日は大変だったなと労ってくれて。
夕食の準備ももう済んでいて。
いつもと変わらない家の中の空気。
とても気付いているようには思えない。
でもなぁ・・・
「どうして今日はスーツなんだ?」
「事務所に置いてあったんです。着替えコレしかなくって」
「家に着替えに戻ればよかっただろう」
「まあそうなんですけどね。どうせ暇な事務所だけどなるべく早く開けなきゃなーと思って・・・」
「日本っていうのは時間に関して本当に真面目だな」
「そうらしいですね」
いつも通り夕食を食べ始める。
秀一さんに、「今日コナンくんが・・・」と言いかけて、ハッとして言葉が止まる。
コナンくんとわたしがなぜ会っていたのかと思われないだろうか。
「眼鏡のボウヤがどうかしたのか?」
「たまたま会ったから少しお茶したんですけどね・・・あのコナンくんが恋に悩んでるみたいで。もーすごい可愛かったんだから・・・」
「ようやく行ったか・・・」
「え?」
「恋愛の話だろ?そういうことは俺よりかおりに聞いてみろと、俺が言ったんだ。結構前だがな」
「あ、そうだったんですか!だからウチに・・・」
コナンくんと会っていたことが不自然では無いようなので内心かなりホッとした。
「蘭ちゃんから告白の返事をもらえなくて、どうしたらいい?ってねー」
「愚問だな」
「彼にとっては大問題なんでしょ。それに蘭ちゃん、新一くんのほかに好きな男の子がいるかかもしれないんだーって・・・」
「さっさと自分のモノにしておかないからだ」
「ですよねー。だからハッパかけてきました」
「しかしあの姿でどうするつもりなんだ、ボウヤは・・・」
「さあ・・・それは聞けませんから・・・秀一さんは?好きな子とかいたんですか?学生時代」
「ん?俺は・・・来る者拒まず去るもの追わずで一人の女に執着することは無かったかもしれん」
「・・・ぽいですね」
「お前はどうなんだ」
「わたし?普通ですよ普通ー」
いたっていつも通り食事を終えて、いつも通り夜を迎えた。
秀一さんは、もし気付いてるんなら何故何も言ってこないのか。
もしくは本当に気付いていないのか。
考えても答えは出ない。