第20章 恋は盲目
「あのさ、ボクの友達の話なんだけど」
「なーに?」
「好きな子に告白したんだけど、返事をまだもらえてないんだって。どうしたらいいと思う?」
「へえ・・・気になるねー」
やっぱり“コナンくんは新一くん”なのだと、改めて確信する。
前に蘭ちゃん、告白の返事してないって言ってたもんなぁ・・・
「しかもその子、ほかに好きな奴がいるかもしれなくて」
「えっ!?」
それは初耳だ。蘭ちゃんは新一くんのことが好きに決まってると思ってた。
新一くんが留守の間に、ほかの男を見つけてしまったのか?
「・・・コナンくんは、その子とどうなりたいの?」
「だからボクじゃなくて、ボクの友達」
「ああごめん。そのお友達は?」
「そりゃー、お互い好きだったら彼氏と彼女に・・・」
「ふーん・・・恥ずかしくて自分から気持ちを言えない女の子も多いからね、一回改めて聞いてみたら?」
「・・・そうだよなー」
「しっかり自分のモノにしておかないと、いい子なら尚更他の男に取られちゃうかもねー」
焦ってるのか、コナンくんの様子がおかしい。
こんな子どもらしい彼を、初めて見た。
申し訳ないけど笑い出したい気持ちをグッと堪える。
これは帰ったら秀一さんに報告だな。
でもニヤついてたのが彼のカンに触ったのか。
一変して不機嫌そうな顔付きに変わったコナンくんに逆襲される。
「でもそういうかおりさんはどうなの・・・赤井さんと付き合ってるんでしょ?」
「そうだけど」
「じゃー安室さんは何なの」
「・・・すごーく仲のいいお友達かな。秀一さんには言えないけど」
「赤井さんにはバレてないの?」
「・・・多分」
「あの赤井さんが気付かない?」
「“恋は盲目”って言うじゃん」
「ホームズも恋愛感情には否定的だからなー・・・」
「冷静な判断ができなくなるっていうね」
「それだけじゃないよ。大切な人は自分の最大の弱点にもなる」
「コナンくん大人ー!」
「だって・・・子どもじゃねーし」
その後も子供らしくないセリフを吐き捨てて、コナンくんは帰っていった。
コナンくんの手前、ああは言ったものの。
彼の言う通り、そうなのだ。
FBIきっての切れ者と言われる秀一さんが、わたしと零の関係に勘づいていない方がおかしくないか?と一抹の不安が頭をよぎる。