第20章 恋は盲目
お昼過ぎにエラリーで食事をして、ママにお土産を渡す。
今朝零の車で帰ってきていたことにはやっぱり気付かれていて、一緒に行ってたのかと問い詰められた。
「絶対内緒ですよ」とお願いしたものの、
「私も安室くんと旅行してみたいわぁ・・・あ、ポアロとエラリーで慰安旅行でもしようかしら。それなら昴くんにも言いやすいでしょう?」なんてママは言い出した。
ママは・・・相変わらずわたしと昴さんと安室さんのトライアングルを楽しんでいる。
コンビニに寄って、そろそろ来るであろう彼の為にアイスコーヒーのペットボトルを買って、事務所に戻る。
その彼は程なくして現れた。コナンくんである。
彼と二人っきりで話すのって、もしかして初めてかもしれない。
(子どもの頃の新一くんとは、話したことはあるけど)
「かおりさんどうしたの?急に・・・赤井さんに内緒ってことは安室さんのことかなとは思ってるけど」
「お。鋭いね。昨日零と長野に行ってたの」
ソファにちょこんと座ったコナンくんは、呆れた顔をして、わたしの出したアイスコーヒーを啜った。
「ふーん・・・それで?」
「そんな嫌そうな顔しないで・・・まあ、まずなんで長野に行ったかって所から話すと・・・」
今回長野へ行った目的と、諸伏警部との県警での経緯を彼に話した。
「・・・諸伏警部、さすがだね」
「あ、知り合いなの?」
「うん、事件で何度か。すごく頭のいい警部さんだよ」
「そうそう。淡々と核心に触れてくるっていうかねー。怖かったくらい・・・それでね、その横にヤマトって警部さんがいたんだけど・・・」
「大和警部にも会ったんだ!」
「なに、そこも知り合いだったの?」
「うん。何度も会ったことあるよ?」
「その人がラムって可能性は・・・」
「まず無いだろうね」
「なーんだ・・・ごめんね呼び出して。話したかったのはそれだけなの。秀一さんには長野県警に行ってたとは言えないからさ・・・」
「いいよ・・・ボクもかおりさんと、ちょっとお話ししてみたかったし」
「そうなの?」
さっきまですました顔でアイスコーヒーを飲んでいた彼が、急にモジモジし出した。
どうしたんだ・・・コナンくんが、めちゃくちゃ可愛く見えてきた。