第19章 伝えたいことがある
「わたしにとっては・・・組織の壊滅が公安の手柄になっても他の機関の手柄になっても、正直どうでもいい。少しでも早く終わらせたいだけで」
「まあ、そうだよな」
「合同捜査まではいかなくても・・・それぞれが持ってる情報を共有して戦う方が早いんじゃないかって。所属の違いはあっても、目的は同じなんだから・・・」
「へえ・・・」
「零は・・・FBIのこと嫌いみたいだけど・・・あの人達は零のこと全く嫌ってないし、むしろ力を借りたいって言ってるくらいだし」
「それで、手を組めと?そう言えとFBIに言われたのか?」
「違う。わたしもそうなればいいなと思ってるだけ」
「・・・スグには頷けないな」
「零はそう言うと思ってた・・・ただ、向こうの人達は零を悪いように使おうなんて勿論思ってないし・・・協力を望んでることは分かって」
「ああ・・・」
いつの間にか身体に回されていた腕の力は緩んでいて。
身体を動かし零の方を向く。
なんか言葉では表現し難い・・・複雑な顔をさせてしまっている。
そりゃあ、大っ嫌いな赤井秀一のいるFBIと仲良くしろって言われたんだもんな・・・
「でも零がわたしのこと大事に思ってくれてるのはすごくうれしいの・・・それに今日だって、あんな大事なもの、わたしに託してくれて。なんかすごく、嬉しかった・・・」
「かおりさんは特別だからな・・・」
「特別・・・」
「ほかの人とは全く違うってこと。すごくすごく大切ってこと」
「ありが・・・と」
もう一度、強く抱きしめられる。
まただ。胸が苦しい。なんで・・・
腕が解かれると目が合って、そのまま視線を逸らせなくて。
どちらからともなく、唇が吸い寄せられるように重なった。
手の先が零の手と触れて、指が絡まる。