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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第19章 伝えたいことがある


相変わらず雨は強く降り続き、辺りはどんどん暗くなっていく。
新幹線の運行ステータスは“運行見合わせ中”に変わった。

これ今日は新幹線、動かないかもしれない。


「嘘だろ・・・通行止めだって・・・事故か」


今度は高速の電光掲示板に通行止め区間が表示されていた。


「どうする・・・?かおりさん」

「・・・わたし今日中に家に帰るのは諦めかけてる」


最寄りのインターチェンジで高速を降りた。

降りた近辺は避暑地で有名な別荘地の傍だと思う。
明かりも少なくて、雨と風が車体に激しく当たる音も相まって、怖さすら感じる。

一旦適当な場所に車を停めた。


「僕はおかしいのかな・・・」

「どうしたの?」

「こんな状況なのに、楽しんでる自分がいる」

「うん・・・」

「朝までどこかで休もうか」


新幹線が運休になるかもって考え出した時点で頭の片隅にあったことだが、帰れなくなるってことはつまり、今夜は零と一緒ということであり。

それが嫌ではないわたしは、つくづくダメだな・・・


零が近くのホテルをネットで探して電話をかけてくれて、泊まれる所が見つかり、車を走らせ数分。


「わー・・・ここ?ビジネスホテルとかで充分なのに」

「せっかくだからな」


着いた先は、普通に綺麗な感じのホテルで。

急な宿泊を快諾してもらったお礼をホテルのフロントに伝えると、
この天気のせいか予約のキャンセルも出たそうで、むしろ歓迎され。
食事もホテルのレストランで無料で食べられることになった。
不幸中の幸いってやつだ。


とりあえず部屋に入って、ベッドでごろんと横になる。


「なんか、普通に旅行に来たみたいだねー。すごく居心地いいんだけど・・・しかも食事もできるなんて」

「安いホテルだったらこうはいかなかっただろ?」

「・・・零はすごいよ。ほんとに。こうなることまで全部考えてたの?」

「希望的観測だけどな」



一息ついて、秀一さんに今日は泊まって明日帰ることを電話して。


食事をしにレストランまでやってきた。

わたしがお酒を頼むのはいつものことだが、零も今日は飲むみたいだ。

せっかく丸々一晩彼と過ごすのだ・・・なんとかして組織の情報を聞き出せないか、頭の中で色んな会話の流れを考える。
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