第19章 伝えたいことがある
ポツ、ポツ、と降り出した雨粒が次第に大きくなってきて、辺りも薄暗くなってきた。
「帰ろうか」
「そうだね・・・あ、お土産買わなきゃ」
「・・・分かった。道の駅とかでいいのか?」
「うん。おねがいします」
零が面白くなさそうな顔をする。
きっとわたしが家で待つ恋人にお土産を買おうとしているのを分かっているからだろう。
とくに何も聞かれないから何も言わないけど・・・
所謂“道の駅”でいろいろお土産を見て。
家で秀一さんと一緒に食べる分と、エラリーのママやポアロの二人の分も買って。
そこを出る頃にはもう結構な雨風になってきていた。
予想以上の大雨。
最新の予報によればこれから夜中にかけてまだ強くなるらしくて。
「雨は夜からだって言ってたのにー・・・零運転、平気?」
「僕は大丈夫だけど・・・かおりさんはそれより新幹線の運行情報を心配した方がいいんじゃないか?」
「あ、そっか。見てみる・・・」
確認してみると、現在速度を落として運行中の為遅延が出ているとのことで・・・
もっと天候が酷くなったら運休も有り得るかもしれない。
秀一さんには新幹線で行くと言ってある為、それがストップしたらわたしは帰れないことになる。
ちなみに高速道路も速度規制が厳しくなっているそう。
とりあえず零の運転で東京方面を目指す。
高速に乗って少しすると、秀一さんから着信が入る。
「ごめん、昴さんから電話だ・・・」
零はこちらを向いて頷くと、再び前方へ視線を戻した。
彼のすぐ隣で秀一さんと話すのは気が引けるが出ない訳にもいかない・・・
「もしもし昴さん?」
「ニュース見てるんですが雨が酷いみたいですね、大丈夫ですか?」
「そうなんですよね・・・新幹線遅れてるみたいで。次のが何時になるのかも決まってないみたい」
「もし運休になったら泊まる所はありそうですか?」
「まあ・・・なんとかなると思いますよ。東京じゃないんだし」
また連絡すると言って通話を終了したが、本当にどうなることやら。
零は行きとは違ってかなり速度を落として車を走らせている。
ワイパーは一番速い速度で動いているのに、前方はかなり見辛い。