第18章 秘密が多い私達
翌朝。
もぞもぞと隣で何かが動く気配を感じた。
・・・そうだ。今朝から秀一さんと一緒に起きるんだった。
「んー・・・」
「起きたか・・・」
「・・・おきてない」
まだ、目も開けられない。
「起きろ」
「・・・んー」
仕方なくうっすらと目を開けると、ものすごく近くに秀一さんがいて・・・
まだ彼も横になったままだ。
昴さんじゃなくて、秀一さんだ。
「わーやばい・・・」
「何がだ、俺はもう行くぞ」
「えーやだ・・・」
「そんな時間無いだろ、朝飯作れ」
「ちゃんとつくるから、もうちょっと・・・」
秀一さんに抱きついてベッドから出ていくのを阻止する。
振りほどこうと思えば簡単にできるだろうに、そのままでいてくれるのが嬉しくて・・・
「全く・・・」
「んーっ・・・しあわせ」
秀一さんの鎖骨に唇をつけた。
今すぐここで、二度寝したい。
「おい・・・いい加減無理矢理起こすぞ」
でも結構怖めの声が降ってきたので起きることにした。
朝から秀一さんに会えるのはすっごく嬉しいんだけど、ワガママを言うと、もう少し優しく起こされたい・・・
昴さんだったら優しいんだろうなーなんてぼんやり考えながら身体を起こした。
身支度を済ませて朝食を作り。
昴さんになった秀一さんとそれを食べて、わたしは出勤だ。
「後で会いに行きますね」と玄関で昴さんにキスをされる。
家を出る前にキスするのは出勤前の恒例行事だ。このおかげでわたしは毎朝気分良く仕事に行ける気がする。
エラリーに出勤して、ママと喋りながら開店準備を進める。
「かおりちゃーん、昨日のメガネくんは誰なのぉ?」
風見さんのことか。
「誰って・・・ただの知り合いですよ。少し前にちょっとお世話になって」
「ふーん・・・まあ男女の関係では無さそうだったわねぇ。安室くんもそう思ったのかしら、全然興味無さそうだったしねぇ」
そりゃそうだ。とりあえず何も勘付かれていないようで安心した。
「それよりママ!お待たせしましたー!今日彼氏が遊びにきてくれるそうです・・・」
「あらっ!ちゃんと紹介してねぇ。私・・・この服でいいかしら?」
「ママはいつも綺麗だから大丈夫です」
本日も喫茶エラリー開店だ。