第2章 立待月
わたしは、朝目覚めた瞬間から、思考をフル回転させることになる。
昨日東京の有希子さんちに引っ越してきて、沖矢という青年と暮らすことになった。
ここはその彼の部屋のベッドだ。わたし達は出会ったその日に身体の関係を持ってしまい。
そのまま寝たわたしは今何も衣服を身に着けていなくて、 ソファに座りコーヒーをすすりながらこちらを見ているのがその彼、沖矢さんで・・・
恐る恐る声を掛けてみる。
「お、おはよう、ございます・・・」
「おはようございます。かおりさん」
「あ、あの、服を取ってもらってもいいですか」
「どうぞ」
下着と共に丁寧に畳まれている部屋着を渡され、恥ずかしくなる・・・
「すみません、わたしあのまま寝ちゃったんですね」
「ええ。可愛い寝顔でしたよ」
「あー・・・もう・・・なんて言ったらいいか・・・」
「有希子さんが朝食を用意していってくれたので、食べましょうか」
「はい!あ、でも、あの、あっち向いててくれませんか?」
「どうしてですか?」
「着替えたいので・・・」
「もうあなたの裸は知っていますよ」
「そういう問題じゃありません・・・」
しぶしぶ沖矢さんに背を向けて身体を起こし、頭から服を被ってベッドから出た。
二人で朝食を取りながら、今日の過ごし方を話し合う。
わたしは早速仕事だ。沖矢さんも大学に少し用があって出掛けるらしい。
帰ったらお隣の阿笠さんに挨拶に行こう、と約束し。
今更ながら彼と電話番号を交換して、登録する。
身支度をして、一人家を出た。