第15章 雪の中の
零はバックヤードに引っ込み、お昼寝。
一人で店番だ。
こんなことなら工藤邸のミステリー小説コレクションから一冊拝借してくればよかったなーなんて思いながら、店内の女性誌をパラパラめくっていた。
そこに現れた本日一組目の意外なお客さん。
「こんにちは!」
「いらっしゃい!蘭ちゃん、園子ちゃん、ともしかして世良ちゃん?」
「そうだけどあなたがかおりさんか?へえ・・・ボクも探偵なんだよ。よろしく」
まさかの秀一さんの妹のご来店だった。
この雪のせいで午後の授業が無くなったらしく、暇だからーということらしい。
テーブルに座った彼女達に飲み物を出して、カウンターの中から女子高生三人組を眺めていた。
自分のことを“ボク”と名乗る、真純ちゃん。八重歯が可愛い少年のような少女だ。たしかに、目元が秀一さんと似てる・・・
「かおりさーん!今日ひとりなんですか?」
「安室さんもいたんだけど、今ちょっと外してるの!どうせこの雪なら暇だろうし・・・」
「よかったらこっちで一緒に話しましょうよ!」
「わかったー!今行くね!」
園子ちゃんの彼氏は海外遠征ばかりで中々会えない事や、相変わらず蘭ちゃんと新一くんには進展がない事を聞かされ。
聞くならここかと思い、聞いてみる。
「世良ちゃんはどうなのー?彼氏とか好きな人って」
「そうだなー・・・ボクより強くて、兄以上に頼りになる人なら好きになれるかもしれないな。残念ながらまだ出会ったことはないよ」
「世良ちゃんはブラコンだからね」
「なんだ?ブラコンって」
「お兄さんとか弟が大好きってこと」
「全くその通りだな。ボクの兄は二人ともすごいんだぞ!」
なるほど。これなら秀一さんもしばらく安心だ。
秀一さんを越えられる男なんて、まずその辺にはいないだろうから。
「ねえ!かおりさんと昴さんはどうやって付き合うことになったんですか?」
「えーっと・・・言わなきゃダメ?」
「そんな可愛い顔してもダメですからね!ウチらも話したんですから」
「・・・わたしが告白したの。しかもボロボロ泣きながら勢いで言っちゃってね」
「で?で?昴さんは?」
「普通だよ普通!・・・僕も好きだって言われて」
蘭ちゃんと園子ちゃんにキャーキャー騒がれる。