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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第15章 雪の中の


「恐い顔しないでくださいよ。変なものは入ってませんから。ハチミツと柚子で作りました。風邪予防にもいいし、身体も温まりますよ」


一口飲むと、あったかくてホッとするのは勿論のこと、甘過ぎなくてスッキリしてて。美味しい。


「しかしこの雪では・・・今日は開店休業になりそうですね・・・」

「そうですか?」

「見てれば分かりますよ」



開店準備を済ませて客を待つが、彼の言う通り本当に誰も来なくて。
東京の雪、恐るべしだ。


「しばらく降谷でいても大丈夫そうだな」

「零がそう思うんなら大丈夫なんじゃない?」

「・・・だな」




「ねえ、昨日なんでコッソリ入ってきたの?ほんとビックリした」

「沖矢昴を観察したかった・・・と言えば満足か?」

「まあ、そうだよね」

「収穫は得られなかったけど」

「だって何もないもん」

「どうかな・・・」


諦めが悪いのか勘が鋭いのか・・・

零は秀一さんを見つけ出してどうしたいんだろう。

本当のことを言えればいいんだけど・・・それで全てを知ったら傷付くのは零だ。


窓の外を眺めてチラチラ落ちてくる雪を黙って見ていた。歩道の人通りは驚く程少ない。車道の車は列を作ってのろのろと進んでいる。


「かおりさんは雪が似合うよ」

「そう?色白だから?」

「かな。真っ白な雪が似合う」

「零は太陽の方が似合ってるね」

「よく言われる。太陽の光なんてほとんど浴びてないのにな」

「ほんとに地黒なんだね・・・」

「今更何言ってるんだよ。見てるだろ?僕の裸」

「・・・見た。たしかに」



お昼時になっても一向に客は現れないので少し早いがまかないを食べることになる。
いつもは一人ずつ交代で奥で食べるけど、こんな日は二人同時に食べても問題ないだろう。

先日の約束通りわたしが作る。
でもエラリーのキッチンは初めてだ。勝手が分からず結局零の手を借りながらになるけど・・・

二人並んでカウンターに座り、食べて、片付けて、またすることがなくなった。


「零、寝てたら?いつもあんまり寝てないんでしょ?」

「そうだなー・・・でもせっかくかおりさんとのんびりできるのに」


そう言いながらも眠そうな顔して両腕を伸ばしている零。


「いいよ。後ろで寝てきたら?」

「・・・一緒に寝たい」

「いやです」
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