第13章 諜報戦の行方
ひと通り秀一さんからの質問に答えた後、わたしもさっきから少し気になっていることがあったので、聞いてみる。
「ねえ、秀一さんと降谷零って仲悪いんですよね?さっき、普通に喋ってたけど」
「ああ。しかし沖矢昴と安室透には仲が悪くなる理由がないだろう?彼もそう思っているんじゃないのか?」
「二人とも役になりきってるってことか・・・納得」
「それにそもそも、沖矢は赤井ではない」
「降谷零はまだ、疑ってるみたいですけどね」
「お前が間抜け面して見てくるから、こっちは少しヒヤヒヤしたぞ」
「そんな顔してましたか?すみません・・・」
「もう少し気を付けろ。先に風呂、入るからな。お前も入ったら好きな酒持って部屋に来い」
せっかく帰ってきたのに、どうも秀一さんが素っ気ない気がする。
まあ素っ気ないのは元からだけど。
コーヒーカップを洗って、荷物を片付けて。
秀一さんの後にお風呂に入り、ビールとワインを手に彼の部屋に向かう。
寒いとは言え、やっぱりお風呂上がりにはビールが飲みたいのだ。
部屋に入り、ソファの秀一さんの隣に腰掛けて、ビールをゴクゴク喉に流し込む。
「一日空けたお酒って余計美味しいですね!昨日は飲めなかったから」
「お前はここに来てからほとんど毎晩酒浸りだからな」
「そんな風に言わないでくださいよ・・・秀一さんさんだって毎晩でしょ」
「いい晩酌相手ができたからな」
秀一さんは今日もバーボンを飲んでる。
飲んでいたビールがなくなって、ワインの詮を開ける為に立ち上がった。
「しかしかおりは・・・降谷くんに相当気に入られているようだな」
「そう?」
「お前を守ろうと必死だったそうだぞ」
「彼はどんな仕事にも全力を尽くすタイプらしいですからね」
「それだけか?」
「それ以外に何があるの?」
「まあ、いい。早く来い」
秀一さんが大きく開いた脚の間を叩いている。
ワインの栓を開けて中身をグラスに注ぎ、秀一さんの脚の間にお邪魔する。
「いつものかおりに戻ったな」
「そうですか?」
「帰ってきたときは、違う匂いがした」
「シャンプーかな?そこにあったの使ったから」
チクリと胸が痛む。顔を見られずに済むのがせめてもの救いだ。
秀一さんがいつも以上に素っ気なかったのはこれが原因なのか。