第13章 諜報戦の行方
料理上手な彼に料理を振る舞うのはかなり気が引けるけど仕方ない。少しでも零に休んでもらう為に作ったんだ。
昨日と同じように三人で食卓を囲む。
「誰かに食事を作ってもらうなんて・・・何年ぶりかな」
「そうなの?今度から一緒にバイト入ったらまかないはわたしが作ろうか?」
「いいのか!?」
「そんなに嬉しい?」
「ああ、かなり」
「・・・零ほど上手じゃなくて悪いけど」
「いや、美味しいよ」
「お昼のあれも美味しかったです」
「昼?風見、昼もここで食べたのか?」
「恐縮ですが・・・はい」
「僕より先にかおりさんの手料理を食べるとは・・・いい度胸してるじゃないか」
落ち着いていたはずの例の顔がまた曇っていく。
「零・・・だからわたしが無理矢理誘ったんだって」
「分かってる・・・」
「そういうつもりでは無かったんですが・・・本当にすみません」
零がトイレに立った隙に、風見さんに今日無理矢理部屋に呼んだことを平謝りした。
こんなに零が怒るとは思ってもいなくて。
そしてタイミングが良いのか悪いのか、そこで秀一さんから(勿論昴さんとしてだけど)電話が入る。
「もしもし!」
「その声の感じですと元気そうですね。良かったです」
「はい。昴さんも大丈夫でしたか?」
「僕は何も変わりありませんよ。いつ帰ってこられますか?」
「えーっと・・・まだ分からないので確認して連絡します」
「ええ、お願いします。公安の方にも礼を伝えておいてもらえますか」
「はーい」
電話を切ると、不機嫌そうな顔をしている零がこちらを見ていて。
今夜はご機嫌取りに奔走することになりそうだ・・・
「電話、昴さんからでした。公安の方にお礼を言っておいてくれって。わたしからもまだちゃんと言ってなかったですね。今回は本当にお世話になりました。ありがとうございます」
「・・・元はと言えば僕が蒔いてしまった種だから。僕がかおりさんを守るのは当然だ」
「自分なんて久しぶりにゆっくりと過ごさせて頂けましたし」
「・・・わたし、いつ家に帰るのかな?」
「自分が帰りに送っていきましょうか」
「いや、いい。かおりさん、今日も泊まっていきなよ」
「ん・・・?うーん・・・」