第13章 諜報戦の行方
ベルモットはバックミラーを動かし、コナンくんの存在を確認したようだ。
「なに?あのボウヤとつるんでる訳?」
「今回の件に関しては、彼も絡んでいます」
「へえ・・・そうなの・・・」
「あなたは後ろの少年のことを、えらく贔屓にしていますよね、それから毛利蘭さんのことも。なぜですか?」
「それは言えないわ」
「僕が現在、あの少年とも蘭さんとも近しい関係であるのはお分かりですよね。どんな理由があるのかは知りませんが、かおりさんに手を掛けるのなら僕も手段は選びませんよ」
「彼らには手は出さないで」
「ではかおりさんからも手を引いてください」
「・・・さっきの私の秘密・・・守れなかったら、可愛いあの子の命はないと思って」
「あなたが約束を破らない限り、こちらも必ず守りますよ・・・交渉成立ですね」
これで、よかったんだろう。
ベルモットは不服そうな面持ちではあるが、構えていた銃をしまい、細いタバコに火を付けた。
「バーボン・・・今夜食事でもどう?」
「今夜は遠慮しておきます・・・可愛いあの子の元に行かなければならないので」
「・・・妬けるわね。特定の女は作らないタイプだと思ってたけど」
「僕には恋人なんていませんよ。彼女のことは・・・僕が勝手に大事にしているだけなんで。それでは失礼します」
車を降り、自分の車へ戻る。
ベルモット達はすぐに車を出して、目の前から消えていく。
コナンくんは、言わずとも結果を分かっていたかのような顔で待っていて。
この策を授けてくれた小さな探偵くんに礼を言って、毛利探偵事務所に送り届け、自宅へ向かう。