第13章 諜報戦の行方
嘘の情報上、かおりさんが駅に着くと伝えた時刻の一時間前。
駅周辺を見渡せる場所に僕はコナンくんと共にいた。
ベルモットが彼女を拉致するならおそらく駅構内。
そこから連れ出して車に乗せるとすれば、あの辺りに車を止めるはず・・・
その周りを隈無く見張る。
コナンくんのスマートフォンに連絡が入った。
工藤邸の近くに停車していた車が去っていったようだ。
その車の車種、色、ナンバーを改めて伝えられる。
三十分後、その車が駅周辺に現れた。
それにしてもコナンくんのかけている眼鏡は素晴らしい。
望遠機能もついていて、車の中には女性と男性が一人ずつ乗っているのが見えると言う。
聞けば、付けた発信機の位置を眼鏡上で確認できたり、暗視機能まで付いているそうだ。
なんでこんな代物を、子どもが持っているのかも甚だ疑問だが今はそれどころではない。
いよいよだ。
コナンくんと共に車に乗り込み、奴らの車の後ろに停車した。
僕一人が降りて、奴らの車の助手席に近付く。
変装はしているが、助手席に乗っているのはベルモットで間違いないだろう。
窓ガラスをノックすると、一瞬驚いた表情をした彼女がこちらを睨みつけ、窓を下げる。
「こんな所で何をされているんですか?」
「バーボン・・・そういうこと・・・」
「二人だけでお話ししたい事があります」
「ええ、そうね・・・」
運転席の男が車から降ろされ、僕が代わりに乗り込む。
「葵かおり、隠したわね」
「さて・・・彼女は仕事で遠方に出張中だと聞いていますが」
「やっぱり大事な女だったんじゃない」
「・・・彼女には一切手を出さないで頂きたい」
「わたしがそんなお願いを聞くと思う?」
「これならどうですか?」
ベルモットは組織内ではシャロンの娘、クリスと名乗っているが、実の正体はシャロンだという事、何らかの作用で身体が若返っているに違いないという事、そしてその証拠も握っている事を告げると、ベルモットはこちらに銃口を向けてきた。
「僕を殺すつもりですか?僕が死んだら、組織内にあなたの情報がリークされる手筈を仕込みました。それに・・・すぐ後ろで今もあなたの動向を見張っている少年がいます。ここは交換条件・・・といきませんか」