第13章 諜報戦の行方
かおりさんを風見に任せて、ポアロに出勤した。
平静を装い働きながらも、客に出すコーヒーと紅茶の数を間違えそうになり。
すんでのところで気付いたが・・・いつもの僕じゃ有り得ないミスだ。
今日の僕は冷静さを欠いているということか。
気を張らなければ。
昼過ぎに、学校を終えたコナンくんがポアロにやってきた。
「安室さんに相談したいことがあるんだー!」
店の隅に呼ばれ、まだベルモットからの直接的な接触はないことをコソコソと確認されて。
小さな探偵は、小声で話し始める。
何か考えがあるようだ。
工藤邸の周りの電波をベルモットが盗聴しているものとして、
コナンくんが声を変えてかおりさんのフリをして沖矢昴に電話をする。
“〇時に〇〇駅に着くから迎えに来て欲しい”と聴かせる為に。
そうすればベルモットはかおりさんに接触する為、駅に現れるだろう、と。
そこで僕がベルモットの元に行けば、少しでも僕に有利な状態で交渉が進められるのではないかと言うのだ。
僕は、ベルモットが痺れを切らしてこちらに連絡を入れて来るのを待てばいいと思っていたけど・・・
この方がより早く、しかもこちらのペースで話を進められそうだ。
彼の案に乗ることにする。
何時に、どこの駅だとやりやすいか。
案を出し合い決定した。
コナンくんは工藤邸の周りに妙な人物がいないか、FBIに確認してくると言い、トイレに向かった。
いたら早速沖矢昴にも電話してくる、と。
この子には本当に驚かされる。
見た目はまだほんの子どもだが・・・末恐ろしい。
暫くしてトイレから戻ってきた彼の顔を見るだけで分かった。
電話の内容をベルモット側に聴かせることに成功したようだ。
あとは待ち構えるのみだ。