第13章 諜報戦の行方
食事を終え、隣室に戻ろうとする風見さんをなんとか呼び止め、零が帰ってくるまで居てほしいとお願いして残ってもらう。
今日零のポアロのシフトは、遅くても夕方まで。
だから、何事も無ければあと数時間。
監視カメラからの映像を二人で眺めながら、さしてどうでもいい話を繰り広げながら過ごす。
カメラが捉えたマンションの住人を見て、この人はどうだとかああだとか。
現実味のある話はしたくなかった。
少しでも恐怖心から逃れたかったんだと思う。
そんな感じで数時間。
日が暮れて、すっかり外は暗くなったが、零は帰ってこない。
風見さんとの会話の内容も次第に現実的なものになっていく。
それから逃れるように今度は夕食の準備にとりかかった。
零がいつ帰ってきてもいいように、三人でも食べれるように、用意する。
料理が出来上がっても零は帰ってこないのだが。