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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第12章 白妙の策略


座っててと言ったのに。零はあちこち動き回る。


「あれ?洗濯物畳んでくれたんだ」

「うん、畳み方それでよかった?」

「かおりさんがしてくれるならなんでもいい」

「そんな甘いこと言ってると、わたし調子に乗るよ」

「構わないさ、僕の傍にいてくれれば」



洗い物を終えて手を拭いていると。
零が近付いてきて後ろから腕を回される。


「なあ、これ・・・朝から思ってたけど」


きっと首筋に付けられたキスマークのことを言われてるんだと思う。
零の指がそこをなぞる。


「昴さん、が・・・」

「分かってる・・・昨日は貪欲に抱かれた?」

「え・・・っと」

「僕の方がもっと良くしてあげられると思うけど」


わたしのお尻の辺りをひと撫でして、零は離れていく。

シャツのボタンに手をかけて、奥の部屋へ向かっているように見える。


「待って!零・・・まだ」

「・・・うん?」

「まだ、着替えないで・・・?」

「・・・ああ、そういうこと」


着替えられたらスーツ姿の零が見れなくなってしまうじゃないか。

察しのいい零は緩めていたネクタイを締め直し、脱いでいた上着もまた羽織ってくれて。


うーん・・・おかしな声が出てしまいそうなくらい、格好良い。


「もう少し、このままでいて?」

「かおりさんが望むなら、いくらでも」


ソファに並んで座る。

背もたれの上に肘をついて、形の良い脚を組んでこちらを向いている零。
まじまじと、見てしまう。


「そんなにいい?」

「・・・いい」


大きく頷く。

・・・眺めているだけでお腹いっぱいだ。


「僕じゃなくてスーツが?」

「零が着てるからいいの」

「へえ・・・じゃあ今日はこのまましようか」

「え・・・あ・・・でもシワになっちゃう」

「クリーニング出すから問題ない」


襟元を緩める零に見惚れてしまう・・・

距離を詰められ、じっと見つめられて身体が固まる。


秀一さんの顔が頭を過ぎる。

ほんとに、最低なのは分かってる。

なのに、逃げられないのはどうしてだ。


零の顔が近付いてきて、唇が重なる。


このキスが・・・だめ。
気持ち良くて、全てを零に委ねたくなる。

身体から力が抜けていき、舌が割って入ってきて。

また零に、溺れていく。
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