第12章 白妙の策略
零がキッチンに立ち、わたしは風見さんと二人、夕食ができるのを待つ。
目の前には一台のノートパソコンが広げてあり、マンション内の監視カメラの映像が映し出されている。
「ベルモットは動き出しているんでしょうか」
「動いているとすれば、まずはあなたの身辺調査からでしょう」
「自宅と事務所はコナンくんと昴さん、FBIが注意してくれてるそうですけど」
「彼らから連絡は?」
「まだありません」
「僕がベルモットだったら・・・」
零が料理をテーブルに運びながら自身の推測を語る。
手伝おうと立ち上がると「座ってて」と止められ。
「探偵事務所に依頼人として訪ねて、かおりさんを拉致、監禁した上で、バーボンに連絡する。でもかおりさんは事務所におらず、自宅にもいないとなると・・・それでもやっぱりバーボンに連絡するだろう。明日か、遅くても明後日には」
零は、ベルモットがわたしの事で接触してきたら、彼女の秘密諸々を守る代わりに、わたしには一切手を出さない事を約束させるつもりなんだそう。
監禁されるなんて考えただけでゾッとする。
わたしはそんな世界に足を踏み入れているのか。
目の前に並べられた湯気の立つ料理達を見ていると、監禁とはイメージが程遠く、全くそんな気がしない。
「まあ今夜はコチラには何もないだろう。コナンくんの連絡待ちだね。さ、食べようか」
せっかく零が作ってくれたのだ。怖い話はやめて美味しくいただこうと、明るい話をしながら箸を進める。
「風見さんってほんとに零大好きですよねー。さっきから零の格好良い話ばっかり聞かされて」
「格好良すぎる降谷さんがいけないんです」
「僕にいけない所があるのか」
「い、いえ!降谷さんは・・・いつも完璧です。言葉を間違えました、すみません」
「ねえ風見さん、零って仕事中はどんな感じなんですか?」
「・・・めちゃくちゃ怖いです。絶対逆らえません」
「この歳で部下を動かそうと思ったらそうせざるを得ないだろ」
「でもこうして、仕事が終わると優しくしてくださるので・・・」
「そのギャップがたまらないって?」
終始楽しく笑いながら食事は終わり、風見さんは席を立つ。
明日の零の活動予定を確認して、帰っていった。
わたしは零を無理矢理座らせて、食事の後片付けを始めた。