第11章 再会する彼ら
コナンくんが帰ったようで、再び秀一さんが部屋に入ってきた。
なんとなく、二人並んでソファに座る。
「ねえ、セーフハウスってどんな所なの?」
「普通の家だと思うぞ、不自由無く生活はできるはずだ」
「ふーん・・・」
「四六時中監視されるとは思うが」
「それって不自由です・・・秀一さんと電話はできるのかな?」
「沖矢昴とならできるんじゃないか?」
「・・・やっぱり行きたくない」
「自分の置かれている立場を考えろ。もしベルモットがかおりを訪ねてきたら、お前は仕事で出張に出たことにするからな。電話やメールのときはその設定を守れ」
「・・・はい」
「間違っても赤井秀一の名前は出すなよ」
「わかってます」
秀一さんはなんでそんなに淡々と話せるのか。わたしと離れるのは痛くも痒くもないんだろうか。
彼の顔を見れなくて、俯く。
「・・・俺だって喜んでお前を行かせる訳じゃない」
「はい」
「今かおりが危険な目に合わないようにするには、これが最善なんだ」
秀一さんはそう言ってそっと抱きしめてくれる。
「秀一さん・・・少しこのままでいさせてください」
「好きにしろ」
言葉はぶっきらぼうだけど・・・頭や背中を撫でてくれる手の平からはやっぱり優しさも感じて。
なぜか、こうやって抱きしめていてくれるだけで気持ちが落ち着いていく。
「ありがとう、ございます・・・」
「大丈夫か?」
「はい。寂しいけど、がんばる」
「では一番重要な話をするぞ。かおり・・・向こうで降谷くんに会ったら伝えてほしい事があるから、聞いて覚えろ」
「はい」
なぜコナンくんじゃなくてわたしになのか?何だろう。
「ベルモットの正体がシャロン・ヴィンヤードなのは前に話したな?」
「ええ」
「シャロンは死んだ事にし、奴は普段、シャロンの娘のクリスとして過ごしているんだが・・・FBIは、クリスとシャロンが同一人物である証拠を持っている。二人の指紋が一致しているんだ。おまけにそれは二十年前の殺人事件の容疑者の指紋でもある。これだけを聞いて普通に考えれば、シャロンが若い女の変装をして、クリスとして過ごしているんだろうと思うだろう。ここまではいいな?」
「はい」