第11章 再会する彼ら
一見他殺のように見えたこの事件は、結局は他殺に偽装された自殺だった。
やってきた警視庁の刑事達の手を借りるまでもなく、僕達は事件をあっさり解決した。
波土は死んでしまったが、彼の発表する予定だったASACAの意味も知る事ができた。
浅香やラムとは全く関係のない理由だったので、肩透かしをくらっただけだったが。
それにしても、コナンくんの推理力が卓越しているのは前からよく知っていたけど・・・沖矢昴、彼も中々の切れ者だということが分かった。
加えて、彼は左利きのようだ・・・
先日家に無理矢理押し掛けたときは、右手でマスクを取ってたから、てっきり右利きなのかと思っていたが・・・
・・・あの赤井もレフティなのだ。
・・・やはり沖矢が赤井なのか?
まだまだ彼からは目を離さない方が良さそうだ。
それから、ベルモットの様子も気になった。
コナンくんと蘭さんを見つめる顔がなんと言うか・・・恋人でも見つめているかのような表情で。彼女のそんな顔を見るのは初めてだった。
何かあるのかもしれない。こちらも少し探ってみようと思う。
組織の中での僕は、諜報戦を勝ち抜いて今の地位を得ているようなものだ。
ベルモット程のメンバーの秘密を知る事ができれば、組織の中で更に大きく立ち回れるだろう。
しかし、そのベルモットを送る車の中で、一番聞かれたくなかった事を聞かれる。
「ねえバーボン・・かおりって誰なの?」
「・・・どちらのかおりですか?」
「とぼけるつもり?今真っ先にあなたの頭に浮かんだかおりよ」
「さて・・・僕には女性の知り合いも沢山いますから・・・」
「そう、さっきの仔猫ちゃん達に、あなたがそのかおりって女に随分熱を上げてるって聞いたんだけど」
「ああ、そのかおりさんですか。ポアロで只バイトするのも暇なので、その子に思いを寄せてる設定にしてるんです。楽しいですよ?」
「ふーん・・・長期の潜入も大変なのね」
ある程度想定していた会話ではあったが・・・
ベルモットはかおりさんに近付きやしないだろうか・・・
先程から心臓が変な音を立てている。変な汗をかいている気がする。
かおりさんが、心配でたまらない。