第11章 再会する彼ら
波土のライブのリハーサルの日がやってきた。
先日かおりさんから、用事ができたので行けない、とメッセージをもらったが、用事なんておそらくないんだろう。
僕が行くなと言っても聞かなかったのに、なぜ行くのを辞める気になった?
沖矢昴か?赤井か?誰かに言われたのか。その相手に無性に腹が立つ。
でも・・・ベルモットとかおりさんを会わせずに済むんだから、良しと思わなければならない。
梓さんに変装したベルモットを迎えに行き、最終確認だ。
梓さんはポアロのシフトを終えて、やっぱりどうしてもリハーサルに行きたくなったので僕の跡をこっそりつけて来た、という設定。
リハーサルに来たのは梓さんじゃなかったと、後日バレるのは当然なので、僕にあらぬ疑いがかからないようにする為だ。
今日梓さんの知り合いで来ることになっているのは、コナンくん、鈴木園子さん、毛利蘭さん。
沖矢昴と梓さんは面識が無い筈なので適当に挨拶するように伝える。
かおりさんの事はベルモットに言うべきかどうか、直前まで悩んだが、言わなかった。
いざ会場に入ると、僕達以外は先に皆着いていたようで。
やたらテンションが高くて気持ち悪いベルモットを連れて、彼らの所へ向かう。
予想通り梓さんが来ている事に驚く園子さんと蘭さん。
コナンくんは・・・早くも梓さんが本人でない事に気付いた様子だ。
僕はとりあえず、沖矢昴にこの前の無礼を謝るべきか・・・
「沖矢さん、先日はどうも失礼しました」
「ああ、安室さん。大丈夫ですよ。それより、今日のリハーサルは中止になるかもしれないそうです」
「なぜですか?」
「新曲の歌詞がまだ出来上がらないそうで」
「それは残念ですね・・・」
そこに、消防署員が設備の点検にやってきた。
その署員がホールへの入口のドアを開いたと思ったら、突然大声を上げてその場で尻もちをついた。
何事だ?
中を覗くと、波土がステージ上で首を吊っているのが見えて。
咄嗟に身体はステージへ走り出していた。
コナンくん、そして沖矢昴も一緒に飛び出したようだ。
死なれてしまったら、ASACAの意味が聞けないじゃないか。
ベルモットを蘭さん達の所に残しておくのも不安だが、今はこちらを優先すべきか。