第11章 再会する彼ら
ただいまの挨拶もそこそこに、ライブのリハーサルに零が来る事と、しかも組織の女も変装してやってくる事を、秀一さんに話した。
「おそらくベルモットだな」
「何?ベルモットって」
「変装術に長けた女だ。見た目だけじゃなく声まで本人そっくりに化けられる・・・正体は、女優のシャロン・ヴィンヤード」
「・・・ん?シャロンって・・・去年死んでなかったっけ?」
「死んだことになっているが、生きている。まあ俺もそうだが」
「そんな有名人が?組織に?」
「そうだ。しかしなアイツが来るのなら・・・かおりは行くな。家に居ろ」
「なんで・・・」
「アイツらとは極力関わらない方がいい」
「秀一さんこそ行ったら危ないんじゃないの?」
「俺が連れて行ってくれと頼んだんだ、行かねばおかしいだろう、行かなかったことで降谷くんにまた勘ぐられても面倒だし」
「どうしても」
「駄目だ。それに・・・もしかしたら・・・宗介さんとベルモットに関係が無いとも言い切れんだろう?とにかく、行くな」
「はい・・・」
不本意だが、秀一さんに強く言われると、従うことしかできない。
一応零にも連絡しておく。
“波土のリハーサル、わたしは用事ができたので行けなくなりました。みんなによろしく!楽しんできてね!”
誰に見られてもおかしくない文面で送る。