第11章 再会する彼ら
「そうそう“アサカ”って言えば・・・ロックミュージシャンの波土録道が今度出す新曲のタイトルが“アサカ”だよ!」
園子ちゃんが言う。
「何か、十七年も前に作った曲にやっと歌詞つけて、今度のライブでお披露目するってさ」
十七年前・・・アサカ・・・まさか。
「でもそのタイトルって変わってるんだよね?」
今度は蘭ちゃんが言う。
「アルファベット表記でネットに発表されてたんだけど・・・
“アサカ”の”カ”の字がKAじゃなくてCAでさー・・・」
まさか。
昴さんもコナンくんも表情が固くなっている。
おそらく、例のアルファベット八文字の事を考えているんだろう。
何故CAなのかと彼女達に問うと、「今度ライブのリハーサルの見学に行くから、本人に聞けば?」と言われ。
昴さんやコナンくんと共にわたしも連れて行ってもらう事になった。
そんな話をしながら、普段使っていない部屋の掃除を終えて、彼女達にお茶とお菓子を用意する。
コナンくんと昴さんは別室でコソコソ話をしている。
おそらくアサカの件だろう。
「ありがとうねー今日は。この家広すぎて全部に手が回らなくって・・・」
「いいえ!かおりさん達が住まわれる前からしてた事ですし。前は新一が一人で住んでたから・・・」
「新一くんも何処で何やってるのかしらねー。女房を置いといて」
「蘭ちゃん、新一くんと付き合ってるの?」
「いえ!・・・そういう訳では」
「かおりさん聞いてくれますー?蘭ったら新一くんに告られたのに返事もしてないんですよー」
「へーそうなの!・・・でも蘭ちゃんも好きなんでしょ?」
「・・・そう、ですけど」
「新一くんも、蘭ちゃんの気持ち、知りたいと思うよ?」
「でも中々会えないですし・・・恥ずかしすぎて言えませんよ・・・」
顔を真っ赤に染めて話す蘭ちゃんが・・・可愛すぎる。
コナンくんには、聞こえてないだろうか?
(わたしも秀一さんも、コナンくん=新一くんだと思ってるから)
「好きって伝えた方がもっと楽しくなると思うけどなー」
「そんなぁ・・・言えません・・・」
「じゃあ、行動で伝えてみたら?キスしたり、抱きついてみるとか」
「キャーー!」「そんなぁ無理です!」
高校生の恋の話を聞くのもたまには楽しいかもしれない。