第9章 今夜の予定は?
「かおりさんには、恋人がいてもいいと思ってるよ」
「えっ、と・・・?」
「それでも、たまにこうやって過ごせれば、僕はそれでいいんだ」
わたしを抱きしめる腕の力が、少し強くなった。
しかし話の意図がよく分からない。
「零は、わたしとセフレになりたいの?」
「僕は仕事の立場上、恋人は作らない。それはかおりさんなら理解できるだろ?」
「まあ、ね」
「かおりさんとは一緒にいたいけど、あなたと僕が表立って親しくすればする程、かおりさんにまで危険が及ぶ可能性は高くなる」
「だからコッソリ都合のいい関係になりましょう?って?」
酷くおかしな事を、零は大真面目に言っている。
「僕はかおりさんと一緒にいたいけど、恋人にはなれない。かおりさんは、恋人がいるけど、僕とも遊びたい。ちょうどいいじゃないか」
何がちょうどいいのか。
零の手が、浴衣の合わせから滑り込んできて、乳房を包む。
「あ・・・だめ・・・」
「正直になった方がかおりさんも楽だと思うけどな」
「なんで・・・ひゃっ!」
耳を噛まれた。
乳房を揉まれて、指先が先端をくすぐりだす。
「隠し事は面倒だし」
「あぁっ・・・」
首筋に噛みつかれ、強く吸われそうになった・・・跡が残るかもしれない。
「ダメ!それは・・・しないで!」
首を振って強く拒絶した。
「沖矢さんに見られると困るから?」
「・・・そう」
「・・・でも僕とこういう事もしたい。今日だって、分かってて来たんだろ?」
再び首元に口付けられて、うなじの辺りを舌が這う。
何も言えず・・・けど身体はとっくに零を求めていて。口からは甘い溜め息が漏れる。
情けない自分自身に、呆れてしまう。
乳房を弄んでいた手が離れて、腰をなぞると今度は浴衣の裾から入り込んでくる。
ももを滑って、お尻の方へ・・・
「あれ・・・履いてないんだ」
下着を付けていない臀部をスーっと撫でられた。
後ろから秘部に指が伸びてくる。
「やっぱりカラダは正直だな。またこんなに濡れてる・・・」
「や・・・言わないで・・・あぁっ」
クチュクチュと音を立てながら溝を行き来する指。
顔こそ見えないけど、きっと零は今、笑ってる・・・