第1章 こども
「ひっ…ぅあ…」
びっくりして、ノドから変な声が出た。
眼の前には有ちゃんの顔があった。
近い近い、近いよ。
鼻息当たっちゃうよ。
「ねえ、ヨシくん。しゃせいしたことある?」
「え…え?」
「どうなの?」
「いや、あの…な、ない…まだ」
射精って、ちんちんから白いのが出ることだろ。
保健の授業で習ったけど、ボクはまだしたことない。
クラスの男子の何人かはもうしてるみたいで、その子たちはすごくえらそうだ。
別に射精が早いからえらいって訳じゃない。
中学生や高校生になってから射精する人もいるって先生が言ってたし。
でも、やっぱり射精してる子は大人だって感じするし、うらやましい。
「そうか…まだなんだ」
有ちゃんはそう言った。
ボクがまだ射精してないから、有ちゃんはボクをきらいになったのかな。
「じゃあ、私がさせてあげる」
有ちゃんはそう言った。
ん?
なにをさせてあげるって?
「ズボンぬいでよ」
え?
「ズボンぬいで」
え
「私の言うこと聞くって言ったでしょ!」
有ちゃんはおこって大きな声を出した。
「え…な、なん、なんで」
「ぬいでくれないなら、ヨシくんが私の笛をなめたこと先生に言うから」
「あっ、まって、ぬぐ、ぬぐよ」
訳もわからないまま、ボクはなんかズボンをぬぐことになってしまった。