• テキストサイズ

今日、君の笛をふきます

第1章 こども



有ちゃんはとてもかわいい。
かわいくないって言う子もいたけど、ボクはかわいいと思う。
やさしいし、よく笑う。

ボクはグズでのろまでぶきっちょで、よくみんなにバカにされるけど、有ちゃんだけはボクにやさしい。
だからボクは有ちゃんが好きだった。

ずっと、「好きだよ」って言いたかった。
でも全然言えなかった。
ボクはグズでのろまでぶきっちょだから。


有ちゃんは校区がちがうから、中学生になったらはなればなれなんだってさ。
きっとボクはもう二度と有ちゃんに会えないんだ。
そう思ったらすごく悲しかった。

だからやっぱり告白しようとしたんだけど、でもやっぱりできなかった。
ボクはグズでのろまでぶきっちょだから。


だから、有ちゃんの笛を、なめることにしたんだ。


人の笛なんて、本当はなめたらダメだ。
でも、ツヨシくんとアキラくんがこの間言ってたんだ。

「となりの組の◯◯が、△△の笛をなめたってさ」
「□□もやってるよ」

みんなやってる。
だからボクも、いけないことなのはわかってるけど、でもやることにした。
卒業する前に、1回だけ。1回だけだから。

/ 19ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp