第1章 IF:【冬春】エース救済・主人公生存
「ごめんなさい、エース」
「な、んで謝るんだよ、」
「私はたくさん酷いことしてきた、最低な女だよ…本当に、今までごめんなさい」
「お、おい!体に触る…」
「私の傷より、エースの方が痛かったでしょ」
私はまだ幼いエースを一人にした。小さい頃、まだ親の庇護が必要な歳、私は簡単に突き放した。痛いと泣いてもやめない鍛錬。慕っていた姉からの心無い言葉。当時のエースを償いきれない程傷つけた。
「あんたも痛かったんだろ」
真摯な目で見てくるエースに言葉の詰まる。
姉としての自分を殺せば殺すほど、息がしづらくなっていった。エースが泣いていれば駆け寄って、抱きしめて、大丈夫だよって。いつしかそんな権利もなくなっていた。
普通の家族みたいに過ごしたかった。
「…っ、……ごめ、」
「あんた結構泣くんだな」
「泣いて、…ごめ、っ、」
「さっきから謝ってばっかりじゃねーか。良いよ別に」
「良くないっ!酷いこと、いっぱい言った!」
「だからもう良いって!確かに鍛錬の時は本当のことだったし!」
「やだ!私が許せない!大好きなエースにあんなこと言った過去の自分本当にクソ!」
「だっ!?」
「何顔赤くしてるの!?大好きに決まってるでしょ!?じゃなきゃあのサカズキさんの前に命懸けで躍り出るわけないじゃない!!」
「な、何度も言うなよ!良い歳した大人が!ていうかやっぱり死ぬ気だったのかよ!?」
「姉弟なんだからいいでしょう!?死ぬ気は無かったわよ!死ぬ覚悟はあったけど!!」
「あったんじゃねぇか!!」
「エースが!!死にそうになるから…!!」
の言葉を最後に言い合いは止まった。元はと言えば、エースが単独で黒ひげを追い、決闘し、そして敗れたことが原因だった。血筋がバレ、公開処刑が決定し、たくさんの家族が命を散らした。ルフィまで駆けつけて、処刑台まで登ってきた。自由の身になったのに、赤犬に煽られ無謀にも戦いを挑んだ。
あの瞬間、今思い出しても背筋が凍る。姉があの時割り込まなかったら、俺は死んでいた。
しかし、同時に姉に立場を捨てさせた。赤犬と戦い、重度の火傷を負わせた。命を懸けさせた。