第2章 調査兵団への勧誘
「なな!エレン!お前らが倒しちまったのか?!」
コニーがビックリした顔で壁の上に着地する。
「いや、違う。消えやがった…。」
腰を抜かしたななを支え、立ち上がらせようとしたその時だった。
憎悪を抱く唸りが聞こえる。先程超大型巨人が空けた壁の穴から、巨人が入ってきたのである。
「ヒッ…!」
数名の兵士が恐怖のあまり、壁の上で腰を抜かした。
「クソッ!トロスト区もっ…なな、立てるか?」
「うん…ありがとう、ごめんね。もう大丈夫。」
先程までの状態とは打って変わって、もう既に立派な兵士の顔をしている。
巨人がこれ以上街に入らないよう阻止しようとした瞬間、調査兵団の先輩と思われしき人が俺達の方に飛んできた。
「おい!超大型巨人が出現した場合の作戦は遂行している!接触した者は直ちに上に報告しに行ってくれ!」
「ハッ!健闘を祈ります!!」
心臓を捧げるよう敬礼し、俺達はすぐに壁を離れ、エルヴィン団長の居る場所へ向かった。
「エルヴィン団長、失礼します!」
「あぁ、入りたまえ。」
ななと共に団長室をノックし、ドアを開け敬礼をする。
が、団長より先に壁にもたれ掛かり腕を組んでいる男が視界に入った。
訓練兵をしていた時、痛いほど噂は聞いていた。
俺もそれ位強くなりたいと尊敬していた特殊部隊の主力だ。
「お話中失礼します!先程、超大型巨人と接触!トロスト区の開門扉、ウォール・ローゼが突破されました!!」
「そうか…来る時が来たな。」
「…で、おめぇらは何をしてここに来た。」
「うなじを削ごうとした瞬間、私の目の前から消えました!!申し訳ありませんっ…!!」
ななは壁が壊されたのも人々に恐怖を与えてしまった事も、自分が倒せなかった責任を全て背負おうとしていた。
その事に悟った俺は口を開いた。
「俺も見ました!!他の兵士達は超大型巨人が壁を蹴った衝撃で目撃して無い者も居ると思います!!ななは1人で立ち向かっていました!!」
「…消えただと?…まぁいい。ガスと刃を補給しすぐに応戦しろ。」
「報告ご苦労だった。なな、超大型巨人に挑んだ勇気、誇りに思う。」
「勿体なきお言葉、ありがとうございますっ!」
目に潤んだ底光りがあるななと俺は団長室を後にした。