第4章 入団式
エルドさんの言葉を遮った声の方に振り向くと、リヴァイ兵長とマントのフードを深く被った男がこちらに向かって歩いて来ている。
「なな!!」
フードを取りながら私の方に駆け寄って来る人物の正体は、昨日ぶりのエレンだった。
「エレン!体の調子は大丈夫?」
「あぁ。気を失ったって聞いたけどお前は大丈夫なのか?」
「うん!私は大丈夫だよ。」
何故だか久しぶりに感じるエレンの過保護さにホッとしてしまい、頬が緩む。
「感動の再会は後にしろ。」
昨日より低い兵長の声が真後ろから聞こえ、視界に入っている全員の顔が一気に強ばっていくのが分かった。
「さ、さぁ、馬の世話しよっか!私はエレンに教えるね!」
ペトラさんが焦った様子でエレンと馬小屋に向かう。
「お、おう!じゃあ俺は…こいつに教えるとするか!」
横に居たオルオさんが私に教えようと肩を組んできたその時、何故か不快感と吐き気が一気に襲いかかって来た。
「やっ!!」
ドン!!
「痛てぇ!!な、何だ?!何が起きた?!」
私は無意識の内にオルオさんを突き飛ばしてしまっていた。
「え…?あ!!すみません!!ビックリしてしまってっ…。」
咄嗟にオルオさんに駆け寄り、起き上がらせようと手を差し出しながら謝罪する。
アルミンにもエレンにもよく肩は組まれていたし、怪我の確認などで触られる機会も少なく無かった私は、何故オルオさんをこんなにも拒絶してしまったのか自分でも分からなかった。
「おい、こいつはいい。お前は自分の馬の世話をしろ。」
「へ、兵長!これはそう言うつもりじゃ無っ…」
「聞こえなかったのかオルオ。早く済ませろ。」
トボトボと歩いて行くオルオさんの背中を申し訳無く思いながら見つめる。
「来い。お前は俺が教える。」
「はい…。お願いします…。」
きっと兵長も呆れてる…。
またやらかしてしまったと思い、凹んだ私は俯きながら兵長と馬小屋へ向かった。
「今日からこいつがお前の相棒だ。可愛がってやれ。」