第2章 調査兵団への勧誘
医務室から出て行く2人を見送り、ベッドに腰掛ける。
明日からリヴァイ班だと言う事をまだ実感出来ずにいる。
明日は訓練兵が所属兵団を決める日だ。
先程所属兵団が決まった私も団長が参加していいと言ってくれた。
後から入って来た医師に自室に帰っていいと言われた私は、ベッドから立ち上がり医務室を後にした。
自室に向かい、部屋に入るとミカサは居なかった。
「どこにいるんだろ…。」
痛い身体を気遣いながら私服に着替えた私は、3人を探しに食堂へ向かった。
ザワザワしている食堂を見渡すがやっぱり居ない。
まだ審議が終わったばかりだ。もう少しすれば帰ってくるだろうと思い、お腹が空いた私は食事を乗せるトレーを手に取る。
「なな!お前無事だったのか!」
ジャンが私に気付き、走って来た。
「ジャン…良かった。ジャンも無事だったんだね。」
「あ、ああ…。マルコは死んだけどな…。」
「そんな……。」
食事を取っていた手を止める。
落ち込むジャンにどう言葉を掛けていいか分からなくなり、少しの沈黙が続いた。
「なな〜!無事だったんですね〜!」
「お〜い!こっち来いよ〜!」
サシャとコニーが大声をあげながら手をブンブンと振り、私達に合図する。
食事を全部乗せ終えた私とジャンは、サシャ達の居るテーブルに座った。
「おい、お前はエレンが巨人化出来るって知ってたのか?」
「いや、私も今さっき知ったけど…。」
「そうか…。」
コニーが何とも言えない顔でパンをかじる。
「まぁでも、お前が無事で良かったよ!お前強えし最初から心配なんてしてねーけどよ!」
ニカッと笑い、前から手を伸ばして来たコニーに肩をポンッと叩かれる。
「ありがとう。コニーもね!」
「お、おいッ!コニー!軽々しく触るんじゃねーよ!」
ジャンが何故か怒り出して、サシャが喉を詰まらせる。
昨日と何ら変わりない日常に戻っている。
先程気を失う程の巨人を倒したばかりだと言うのに、私の心も何故か不思議と穏やかだった。
まるでこれが宿命だと分かっていたかの様に。
食事を終えた私はトレーを流し台に返し、1人で自室に向かった。
この後、自分の身に予想外の事が起こるとも知らずに。