第4章 1人じゃない
拳をぎゅっと握る彼女の顔がとても辛そうだ。
それでも降谷は彼女の話を聞いて立ち上がり隣に座った。
「俺の昔話を聞いてくれるか?」
彼女は降谷の顔を見てコクンと頷いた。
「俺は警察学校に行っていてな。そこで仲が良い同期がいたんだ」
彼女は真剣に俺の話を聞いている。
「それぞれ卒業してみんな警察に入ったよ。だけど今はもういない」
それって…彼女は言いかけた言葉を飲み込む。
降谷「みんな亡くなったんだ。俺の幼馴染もお世話になった先生もいなくなった」
降谷が悲しそうな顔をするのを彼女は黙って見ていた。
降谷「俺も1人なんだよ」
その言葉に彼女は胸が苦しくなった。