第4章 1人じゃない
「お前泣いてないだろ?」
え?と彼女はキョトンとする。
「葬式の時も現場にいた時もお前の泣く姿を見た者は誰もいない。泣いてないんだろ?」
「泣いてません」
彼女はいつもの表情で言った。
降谷「全くお前は…」
降谷は静かに彼女を抱きしめた。
「降谷さ…ん…?」
「泣きたい時は泣けばいい。辛かったな、よくお前は頑張ったよ」
彼女の頭を撫でながら優しく囁く。
すると身体の力が抜けていくように彼女も俺の背中に手を回し静かに泣いた。
その時の涙が綺麗だと思ったのは俺だけの秘密。
降谷「お前は1人じゃない。俺がいる。俺がいるから…だから一緒に生きよう」
2人でキツく抱きしめあった。