第1章 first summer
あ、そういえば…、とくしゃくしゃな方の少年が周りを見渡す。
「なんだよプロングス?」
「や。さっき君が落ちた時女の子の声しなかった?」
「んー…そういえば一瞬聞こえたような聞こえなかったような…」
キョロキョロ見渡す二人。
リドルが「おーい。後ろ後ろ」と指を指すが、どうらやその姿は二人には見えないし、その声が耳に届くこともないようだ。
「あ、あれは?」
「あ。」
リドルの行動が影響したかはさておき、二人はすぐ後ろの茂みから細い腕がでているのを見つけた。
ずずず…とひっぱりだしてごろん。
「あ、やべ。」
「あはは!こりゃー見事なたんこぶだね!!」
気を失っているようで、目をぐるぐる回しているの後頭部には大きなたんこぶ。
そばには(おそらくシリウスと一緒に落ちてきたであろう)大き目の天井の破片が落ちていた。
一瞬顔を見合わせた二人。
ジェームズが「あちゃー」とわざとらしく右手を額に当てる仕草をした。
「ねぇ君、大丈夫かい?…って駄目だね。完全に目回してる。マダムところに連れて行こう。ほらパッドフット。君が変なとこで落ちるからいけないんだよ?だから君が運ぶべきだ」
「ッチ。しゃーねーなー…」
よいしょ、と掛け声をかけてからを持ち上げるシリウス。
なんて言い訳しようか、等と相談しながら。
「いっそバレないように医務室に勝手においときゃいんじゃね?」
「いやいや、それはフェミニスト・ジェームズ君の名がすたる」
「へいへい」
「おそらく何もないと思うけど、一応頭だし。マダムにちゃんと看てもらわないとね。うーん、天井とは関係なく、偶然見つけた体にすればいいんじゃないかな?」
「よし、んじゃそれで。」