第4章 上司の回顧と再会
眉を下げて笑う女に見覚えがありすぎた。こんな風に笑うこいつを見たことがなかったが。
左頬の火傷痕は痛々しい。だが、表情は海軍にいた時よりもずっと晴れやかだった。
「お、前…」
「まさか貴方とこんな形で再会するとは思ってもみませんでしたよ」
よっこいしょ、とは無遠慮に俺の隣に腰を下ろす。寝ていたキャメルは片目だけ開けてこちらを一瞥したが、すぐにまた寝入ったようだ。
「……生きてたのか」
「お陰様で、死に損ないました」
「みたいだな、酷え火傷」
「それ普通女性に対して言います?ていうか、お互い様ですよね」
ふん、と鼻を鳴らして俺をバカにする。こいつの生意気な姿を久しぶりに見て安心する自分がいた。
「どうやら犯罪者に手を貸してるとか何とか?」
「おま、どこ情報だよ…お前こそ一体何してんのよ」
「まあ似たようなもんですよ。犯罪に手を染めない程度に犯罪者に加担?」
何で疑問形なのか。お互い様似たような境遇で思わず笑えてきた。
何だかんだずっと俺の心のしこりの1つであったの存在。生きていて、まさか会えるとは思わなかったが。再会はあの世だと勝手に思っていた。
その後の左手が義手であることに気がつき、我慢できずに吹き出し、笑ってしまうと睨まれた。自分も片足を失ったというとは眉を下げて笑う。さっきと同じ、見たことのない笑い方だった。
「無様ですね」
あぁ、本当に無様だよ、俺たち。