【C翼】若林くんと補習で同じ教室になった件 他【短編】
第2章 ハッピーバースデー2018
12月7日。若林源三の誕生日である。
学校が終わった後、ドリ子はいつもの帰り道とは違う若林の豪邸へと向かっていた。誕生日を祝いたい。その一心だった。
学校で祝うにもクラスが違うし、何より彼は女子とつるむこともなく男社会で生きているようなタイプだったので、そんな中に飛び込むことも抵抗があったし、学年の噂になってしまうのも嫌だった。学校でお祝いをするにはハードルが高すぎる。
幸いにも修哲小は私立ということもあり、通っている生徒の住居もばらばらで、いつもと帰る時間と帰る方向を変えれば直接渡しに行く方がリスクが低い。
ドリ子は若林邸の正門へと向かった。すると正門前で門に首を突っ込んでいる坊主頭の少年がいた。
「ジョンのやついねーのかよー」
何やらつぶやきながら、きょろきょろと広い庭を見渡していた。
ドリ子は仮に若林に会えなくても最低でも家人に渡せばいい、と思ってここまで来たのに門に近づくことすらできなかった。仕方がないので、その坊主頭の少年が立ち去るまで近所をぶらぶら歩くことにした。