第11章 11Qー焦心
「名前っちー!おはようッス!」
朝、私と赤司が共通して好きな作者が新しく発売した本の話をしていると、相変わらずのキラキラした笑顔で教室へ入ってきたチャラ男。
赤司の顔を見て最初とても嫌な顔をしたが「俺は失礼するよ。」と言って赤司が席を立ったので、黄瀬は少し安心した様な顔をして言った。
「あの人怖すぎッス…。名前っち仲良いんスか…?」
「まあクラスの中では良い方かな。」
そう言うと、黄瀬は急に焦りだし「俺と仲良くしてほしいッスー!」と喚いた。
「はいはい。で、何?」
「ひどっ!
俺…名前っちみたいなカッコ良くて綺麗なプレーがしたいんス。
だから名前っちが俺のコーチになってくれないかなーって思ったんスけど…。」
子犬の様なうるうるとした瞳で聞いてくる黄瀬。
黄瀬のファンの女の子だったら、こんな顔されたらイチコロだろうが、生憎私は黄瀬のファンでもないし騙されやすい人間でもない。
「お断りします。」
「ええっ!いいじゃないッスかー!
2人きりの、愛の特別授業!」
「益々嫌だ。」
「ちょ、俺まじで泣くッスよーーー。」
そう言って私の机に突っ伏した黄瀬。
何故こいつがバスケの話をしているのかは、昨日に遡る…。