第16章 16Qー初めての味は
まだ頭痛は残るものの、そんな何日も連続して学校を休むわけにもいかないのでお母さんの反対を押し切って登校した。
1-Aと書いてある札が掛かった教室の前で立ち止まる。
やはり久しぶりの学校は緊張するな…。
忘れられたらどうしようとか変な心配も登校中しちゃったわけで…。
意を決して扉を開けた。
ーーガラッ
教室も久しぶりだなぁなどの思いに浸る間も無く、扉付近に居た生徒たちに詰め寄られる。
「名前!?」
「名前!!お前大丈夫かよ!!」
「倒れたって聞いてほんと心配したんだから!」
心配そうな顔で私に声をかけてくるクラスメイトたち。
何故このクラスはこんなにも威勢がよく、こんなにも暖かいのだろうか。
一気に温かくなった心の温度を感じながらみんなの問いに応える。
「…本当にごめんね、ありがとう。
もう元気一杯なので、大丈夫です!」
そう笑顔で言うとみんなの顔が安堵の色へ変わっていって、また心が温かくなった。
その後涙ぐんで私に抱きついてきた美祐ちゃんを含むお弁当メンバー。
大袈裟だなと思いながらも鼻の奥がつんとし、溢れそうになるものを我慢した。