第1章 プロローグ
真っ暗な世界だった。
光も見えな居場所に私は立っていた。
あれ?
私は何でこんな所にいるんだっけ?
まるでこの世界でひとりぼっちになってしまったかのようだった。
『NAME1#』
「誰?」
優しい声が私の名前を呼んだ。
私が一歩、一歩進もうとすると止めるかのように。
『まだそっちに行ってはダメだよ?』
この声は知っている。
私の大好きな人の声だった。
「ハル?」
『まだダメだよ』
「待って…待って!」
微かな声だけが聞こえた。
私の愛してやまない人。
でも姿は見えず声のする方に急いで走ると光が差し込んだ。
――起きてマナ!
誰かが私の名前を呼んでいる。
どうして私をそんなに必死で呼んでいるの?
どうしてそんな切なそうな声で叫んでいるの?
聞くたびに胸が苦しくなるのにその人の声が愛しく手仕方ない。
「ハル…」
『さぁ、帰るんだ。君を待っている人の元に』
待っていてくれる人?
そんな人はもういない。
『大丈夫…大丈夫だから』
声は傷ついた私の心を包むこむようだった。
『魔法をかけてあげる。君の涙が虹になる魔法…君の好きな空が見えるよ』
「待って…待ってぇ!」
声がどんどん消えていく最中、私は意識が遠のく中、桜吹雪が舞う。
私にとってあの人は桜そのものだったから。
「春樹!」
手を伸ばした瞬間、桜の花びらを掴もうとしたけど花弁は消えてしまった。