第1章 純潔
「本当になんなんだよ、何かあったか…?」
こんな風になる相棒に、心底気持ち悪さが湧き上がって、酔っ払って瞼が落ちそうになっている奴に問い掛けた。
普段ならこんな事絶対に無いはずなのに。
相棒の周りで何か変化があったんだとしたら、それは俺には踏み込んではいけないラインなのかもしれない。
けれど、長年相棒として連れ添ってきて…同じ仕事をこなすバディとして。
相棒が弱音を吐く姿は見ていられなかった。
和「いや、ね…最近思うんすよ」
「何を…」
そんな俺の気持ちを汲み取ってくれたのか、相棒はぽつりぽつりと言葉を紡ぎだした。
和「私らの国を穢す悪党を始末するのが、私らの大事な仕事なわけでしょ?」
「ああ…」
和「だからあんたと私は、色んな悪党を己の手で始末してきた」
カズがゆっくりと吐き出す言葉に耳を傾けながら、カズと歩んできた自身の道を振り返る。
和「国家やお国の為って言われて、国王から命じられて…裏で暗躍してきた」
「ああ…」
和「でもそれって、国や何やらに護られてるけど…結果として、私らのやってる事は悪党と同じなんじゃないかって、考えるんすよね…」
カズはそこまで言い終えると、深いため息を吐きながらまたウォッカに口をつけた。